本学で学びたい方へ一般・企業の方へ在学生の方へ卒業生の方へ教職員の方へ

HOME > お知らせ 2019年度 > 清水院生がストックホルム大学で共同研究を行いました

お知らせ

海洋安全システム科学コースの清水院生がストックホルム大学で共同研究を行いました

Last Update 2019.12.13


海洋安全システム科学コース1年の清水万莉子院生がストックホルム大学で共同研究を行いました。滞在記を書いてもらったのでここに紹介します。


『ストックホルム大学滞在記(2019年11月)』


海事科学研究科 修士1年 清水万莉子

・ストックホルム大学について

1

11月18日から30日にかけて、ストックホルム大学の自然科学分野の地理学部(Department of Physical Geography)で永久凍土の変化に関する研究をされているBritta Sannel先生の研究室を訪問しました。私は研究室では多視点画像から3次元形状を復元する画像処理測量を学んでいますが、この技術を用いて永久凍土の変動挙動から地球温暖化の進行を正しく理解することがこの共同研究の目的です。滞在中、同学部の研究センターである”Bolin Centre”の学会に2日間参加することができました。さらに日本とは異なる海外の大学や学生、先生方の雰囲気も感じ取ってきました。

2

ストックホルム大学は1878年に創立され、学生数は約34000人の大きな大学です。ストックホルムの中心地であるT-Central駅から地下鉄で約10分程の距離に位置し、大学の周りは国立自然公園が隣接、自然と都市が調和した学習環境にあります。

人文学、法学、社会科学、自然科学の分野を軸とし、そこから56の学科、研究センター、さらに800ものコースに分かれており非常に規模が大きく、設備も整った大学であり、その中で多くを学び貴重な経験をすることができました。

3 4(写真:実際に滞在した地理学部の校舎)


・女性が活躍している大学

5 6 7
(左と中央:全学部向け図書館の様子 右:フリースペースの様子)

校内には、全学部の生徒が使える図書館と学部の校舎内にある図書館との2種類があります。図書館内にも学習スペースが多く設けられていますが、単純に本を楽しむための椅子も用意してあったということが印象的でした。

また大学内だけでも多くのフリースペースが用意されていて、各々勉強や食事、グループでディスカッションしながら勉強をしていました。ストックホルム大学では授業は少数での開講が多く、皆で協力し課題を進めることが多いそうです。大学内だけではなく街中のカフェや市立図書館においても同じような光景を確認でき、ストックホルムでは勉強をする環境も整っていると感じました。

8
(校内のカフェ)

特に日本と大きく違うと感じた点は女性の数です。理系の学部ですが、修士もPhDも女性の方が多く感じました。さらに、大学内にもかかわらず、赤ちゃんの泣き声が聞こえることも何回もありました。女性が勉強する中で、結婚や出産など人生の節目を迎えた場合、学生であっても、半年〜1年間休む権利が与えられ、相手の男性に対しても同等の休む権利があり、利用者も多いそうです。泣き叫ぶ赤ちゃんに対し、不愉快に接する人はおらず、皆当たり前のように過ごしていたのも印象的です。

学費もほとんどかからず、金銭的な負担もないため、制度の面でも、勉強を続けやすい環境が整っており素晴らしいと感じました。


・“fika”美味しいスウェーデンの食文化

スウェーデンには"fika"と呼ばれる珈琲や甘いお菓子を楽しむという文化があります。大学には、fikaを楽しむためのスペースがあり、学生や先生、誰でも珈琲や紅茶を無料で飲むことができます。

さらに、Bolin Centreの学会においてもプログラム上にfikaの時間が設けられていたのが印象的でした。10:00~10:30,15:00~15:30は、みんな発表会場の外に出て、珈琲や紅茶、そして甘いお菓子(1日目はシナモンロール、2日目はマフィン)を楽しみます。この時間には、単なるリフレッシュの意味だけではなく、先ほどまで聞いていた発表や研究についての意見交換をする大切な場でもあります。学生や研究者、教授と様々な立場の人がいましたが、皆フランクに自分の意見を話すことができる環境でした。

9
(fikaの飲み物とお菓子(セルフスタイル))

10
(fikaの時間に交流している様子)


・Bolin Centre学会での研究発表とダンス

11
12
(食事の様子)

学会の発表方法については、日本と同じくプレゼンテーションによる口頭発表とポスターセッションに分かれていました。発表後の質問時間に関しては、疑問点や発表へのコメントだけではなく、こうしたらさらによくなるのではないかという提案もよくされていたというのが印象的でした。

この学会は2日間に渡って行われ、2日目の夜にはclosing ceremonyとして夕食会とダンスパーティーが開催されました。日本でいう、ラーニングコモンズのようなフリースペースを貸し切り、夕食はビュッフェ、各テーブルにワイン、ダンスは生演奏と非常に豪華で本当にここは大学なのかと疑ってしまう程でした。ちなみに学会への参加に伴いかかる費用は0円です。スウェーデンにはベジタリアンの方が多くいるため、皆が食べられるように配慮したベジタリアンメニューでした。席はもちろん自由で、学生、研究者、先生の立場は関係なく皆自由に座ります。私が同じ席に座ったのは、ドイツ、ニュージーランドからきている研究者、スウェーデン人の学生、中国、インドからの留学生でした。食事を共にすることで、より深い話をすることができ、研究を通してだけではなく人として仲良くなることができました。

さらに、食後のダンスは、スコットランド出身の研究センター長の主導のもと、スコットランドの民謡に合わせて、数パターンのダンスをしました。ペアやチームを変えながら、結果的にほぼ全員の人と踊ることになりました。日本ではあまり見ない文化ですが、このように人同士での繋がりを大事にし、交流を積極的にするスウェーデンの文化は素晴らしいものであると感じました。

13
(演奏の様子 奏者は皆教授や研究者)

14
(ダンスの様子)