研究科長あいさつ
海は、地球上の最後のフロンティアであると共に、世界経済を繋ぐ場として我々の生活に密接に関係しています。そこでは、海事海洋に関わるグローバルで幅広い産業や行政がその活動を通して我々の生活を支えています。我が国が海洋立国および技術立国として発展するためには、また、海洋に関するSDGsを達成するためには、グローバルな視点からの国際ルールの策定と国際連携の推進、そしてそれらを実現するための科学技術の発展が不可欠です。さらに、AIなどの最先端技術によるデジタルトランスフォーメーションの流れの中で、海事海洋に関わる産業および社会を今後どのように発展させていくかという新たな展望が必要とされています。本研究科で学ぶ学生には、将来のそれぞれの進路において、このような「スケールの大きな課題」に取り組むことのできる知識、技術、人間力を培ってもらいたいと思います。
古くから我が国の商船教育を継承してきた歴史ある深江キャンパスは、大阪湾に面した港を持ち、高機能練習船「海神丸」をはじめとする舟艇、船舶運航シミュレータ、総合水槽実験施設、極低温実験施設、タンデム静電加速器などの他大学にはない特徴的な実験・実習・研究施設を備えています。また、海・船に関する書籍が揃う附属図書館海事科学分館、我が国の船舶に関わる歴史的資料を多数所蔵・展示している海事博物館を有しています。座学に加えて、これら施設の有効活用によって知識と技術を実践的に身につけられる学習環境を提供しています。
海事科学研究科は、持続可能な将来の海事海洋社会や海事海洋技術の創出に向けて、理工学および社会科学を専門とする個々の教員の力を結集した活発かつ継続的な異分野共創活動を通して、「海事海洋」という新しい学際フロンティアにおける教育、研究、人材輩出、社会貢献に取り組み、成果の向上に努めて参ります。
海事科学研究科長 平山 勝敏
(2024年4月)