留学生のための日本文化体験研修旅行を実施しました
Last Update 2015.12.28
2015年12月20日(日)、海事科学研究科・学部に在籍している留学生を対象に日本の文化を体験する研修旅行を実施しました。午前8時半に深江キャンパスに集合した20名の留学生と、引率の教職員4名はマイクロバスで兵庫県篠山市に向かいました。
午前中、最初に訪問したのは篠山市の中心街から少し離れた山あいにある『集落丸山 』でした。丸山村は少数世帯だけが暮らす限界集落となったため、村を再生するための各種試みを行っているところです。その目玉のひとつは、築150年の古民家を改装した宿泊もできる施設で、内部には太い木の支柱、おくどさん(薪炊きの台所)や五右衛門風呂(鉄製丸釜のお風呂)などが保存利用されています。これらを佐古田 直實氏をはじめとする村民でNPO法人集落丸山を組織して管理・運営されています。
今回は法人の皆様のご協力を得て、「農村での料理体験」として、地元で採れた野菜を沢山入れたお味噌汁作りと、杵と臼を使った本格的なお餅つきを体験しました。肌寒かった当日の天気も相まって、温かいお味噌汁はみるみるなくなっていき、何度もおかわりする人もいました。つきたてのお餅は、自分達ですった大根おろし醤油、地元名産の黒大豆から作ったたきな粉やバター醤油で、お腹一杯になるまで堪能しました。その後、古民家のお座敷をお借りして、デザートのお汁粉をいただきながらワークショップを催しました。このワークショップでは、留学生活で困っていること、改善が必要と思うことなどを自由に発言してもらい、その解決に向けた方策などを話し合いました。
午後は篠山市民センターに移動し、「陶器への絵付け体験」を実施しました。丹波篠山地方には多くの陶器工房がありますが、今回ご指導いただいた陶工 児玉 玲央奈氏が所属する『王地山(おうじやま)陶器所 』は、江戸時代中頃から明治時代初期まで、青磁・染付・赤絵など中国風の磁器なども製作していた藩窯(はんがま)をルーツとする工房です。あらかじめ用意いただいた色んな種類の焼成前の器から好きなものを選んで、焼成後に藍色になる染料で思い思いの絵付けをしました。神戸大学のロゴマークを描く人、お世話になった先生にお礼の言葉を描く人、それぞれの思いと個性が詰まった陶器は1〜2か月後に焼成された完成品として届く予定です。
染付体験の後は、篠山市民センターの直ぐ南にある「篠山城跡と城下町の散策」をしました。篠山城跡の東側にある河原町付近(旧商家や武家屋敷の残るところ)も散策する予定でしたが、染付体験に熱中して完成までに時間がかかった人もいたため、篠山市民センターから近い城下町を散策することにしました。北側の城下町の中心は、大正12年に建築され、平成4年まで篠山町役場として利用されていた建物を保存利用した大正ロマン館で、江戸の城下町に近世の雰囲気がミックスされた独特の情緒を楽しむことができました。
それぞれの体験の思い出とともに帰路につき、午後5時過ぎに深江キャンパスに到着、解散となりました。観光だけの旅行ではない今回の日本文化体験研修旅行が、留学生のみなさんにとって日本滞在中の良い思い出になることを期待しています。末筆ながら、研修旅行の企画・運営にご協力をいただきました一般社団法人ROOT の代表理事、片平 深雪氏、谷垣 友里氏の両氏に感謝の意を表します。
|
|
集落丸山の築150年の古民家 |
保存されている古民家内の古い支柱 |
|
|
お味噌汁に入れる野菜を用意 |
初体験の杵と臼を使ったお餅つき |
|
|
染付デザインを決めるのに試行錯誤 |
大正ロマン館(大正12年建築の旧町役場) |