クライナーベルクが神戸ー横濱間ヨットレースに挑戦します
Last Update 2013.04.18
本学部所属の大型ヨット「クライナーベルク」がヨットレースに出場します。応援して下さい。
レース概要
大会HP 神戸・横濱ヨットレース http://www.kyyr.jp
神戸ー横濱間(340マイル)
4月28日 スタート(西宮市 新西宮ヨットハーバー沖)
大阪湾 → 友が島水道 → 紀伊水道 → 潮岬
→ 熊野灘 → 遠州灘 → 伊豆半島 → 相模湾
→ 三浦半島 → 浦賀水道 →
4月30日 フィニッシュ予定(横浜市 横濱ベイサイドマリーナ沖)
レース期間中にAIS(船舶自動識別装置)と深江丸で使用されている本学版電子ナビゲーションシステム(eNvi)のプレジャーボートでの実用試験を実施します。
また、クライナーベルクの生みの親、故小山健一氏の想い「荒海に乗り出す勇気を讃え、この船を贈る」に応えての、外洋帆走への挑戦です。
もう一つ、神戸大学海事科学部のルーツをたどる航海です。なぜ、深江の地に、神戸大学海事科学部が有るのか、神戸商船大学が誕生したのか。
京都を中心とした経済圏は大阪を生活経済の中心地としました。さらに豊臣の時代に発展し、徳川の時代には大消費地の江戸への荷物を運ぶことが盛んになります。
新綿番船は大阪九店(くみせ)が新綿を江戸に運ぶ時に競争をさせて技術の向上を目指した海運レースです。九品以外の指定積荷を扱える商人は十三店と称し、江戸への回船は40余隻に達したとのこと。また、畿内大阪、伊丹、池田、今津、西宮、青木、魚崎、御影、東明、新在家、大石、兵庫の十二郷の行司荷主が西宮に集い、西宮から品川沖までの新酒を運ぶ競争の番船レースが行われ、1番着には賞金が授与されました。
早荷は、物流の基本として尊ばれ、初荷・早出しは儲けに繋がり、競う心を駆り立てました。海運レースはその年最初の荷物を早く届け、早荷は儲かるために抜け駆けをしないように協定を結び、一定のルールの下で日にちを決めて出航し一番荷を競いました。最速記録では、新酒番船は寛永2年(1790)平均速度6.5ノットで58時間、新綿番船は安政6年(1859)平均速度7ノット、50時間、大阪ー江戸間を走破しています。カティーサーク号で有名な英国のティークリッパーレース(中国〜英国1850〜1872)はロイド協会が賞金(1ポンド/トン)を出すことで盛んになりましたが、このレースより100年も早く海運レースが日本にもあり、海運の芽が深江、西宮に誕生し発展したことは想像に難くありません。当時は品川までの航海でしたが、深江と品川は船乗りや海運の要の地となったと想像できます。この地に船や海の大学が有るのも偶然ではないでしょう。
海運は陸路とは違い大輸送が可能な反面、遭難のリスクも高く、船乗りの挑戦心と正確な運航技術が必要でした。ここに本学部の基本を感じます。