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キャンパスライフ

教員のエッセイ

「質量について」

【質量について】

いまでもそうなのか知らないが、中学までキログラム重としたものを、高校からはニュートンと呼ぶ。ここには力は質量×加速度というパラダイムシフトが隠されている。

大きな質量には、ものを引きつける力があり、引き寄せられて動く。その動く速度の時間当たりの変化を加速度と呼ぶ。

地球の場合、その加速度は秒当たり9.8m/sである。月ではその1/6くらいである。そこで、バネばかりであるものの重さをはかると、地球で6キログラム重のものは、月では1キログラム重となってしまう。

一方、天秤では基準質量では分銅のとおり、どこで測っても同じ重さになる。
力=質量×加速度
という定式が導出され、この導出の基礎を築いた哲学者の名をとって、力の単位をニュートンと呼ぶことになった。

慣性という考え方もでてくる。慣性とは、すなわちものの動きの勢いである。質量×速度であらわされる。これを思考として時間で偏微分すると?
慣性=質量×速度
右辺を思考として時間でわる。
Δ質量/Δ時間×速度+質量×Δ速度/Δ時間
第一項を回転等による力、第二項を従来の力と考えること、できるはずである。

このようにして慣性をニュートンの著書の原定義、固有の力(vis Insita)と捉え直すことができる。


Photo by K. Kuwahara
Photo by K. Kuwahara

【運動について】

物体をうごかすときに力を加える。この関係を現代の用語でかくと、
力積=運動量(の変化)
となる。力積とは力×時間で、さきの慣性と同じ単位となる。

ここで静止しているボールあるいは玉を考えてほしい。同じ力で、同じ時間だけこの球に力積を加えたとき、球が回転しながら進む場合と、無回転で進む場合。同じ力積を与えても、傍目には進む速度が異なるはずである。

これで、運動量(慣性)の速度として見積もると誤る訳である。回転はその慣性(固有の力)として物体に保有され、場合によってはその慣性を使いながら進むこともありえるのだ。流体の渦核。

以上がわたしのニュートニアン。 フォースが共にあらんことを!という合言葉で通じる仲間もいる。

現在、素粒子物理ではニュートリノの質量の有無を実験的に捉えることに躍起になっている。その質量について、なにがしかの答えが出たら、アインシュタインの慣性質量とともに考察をすすめたい。


(ThomasD. 13th October, 2017 @ Fukae Campus)