教員のエッセイ
「Malmöからの便り(2)」
前回はマルモの話を中心に書きましたが、少し誤解を招きそうな表現があったので補足をしておきます。マルモの街はむしろ小さい方だ、と書きましたが、これは中心街が小さいということで街自体はそれなりの大きさがあります。私の移動手段は基本的に歩きなので、必然的に動ける範囲が決まってきますから前回のような書き方になってしまいました。ただ、中心街は本当に歩いてまわれるくらいの大きさです。
さて、マルモは4月に入ってよりいっそう暖かくなってきています。数日間ですが、大学の教授先生から自転車を借りることができたので、マルモの街を少しまわってみました。ちなみに、マルモ(たぶんスウェーデン全体、コペンハーゲンもそうでしたが)では自転車専用道路が整備されているところが多くて、非常に快適です。逆に歩行者からすると、自転車道路を歩いていると怒られたり(自転車道路と歩道は平行に走っていて、私にはどちらがそれなのかわかりにくい)、自転車道路を横切るときは基本的に歩行者が待たなくてはいけないので、すこし煩わしいのですが。ということで、またマルモの写真を何枚か紹介しておきます。
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左上:Pildamms公園、右上:Oresund橋(ちょっと見えにくいですが)
左下:Marine Guest Harbourから見た建設中の"ねじれタワー"(正式な名前を知らない)、右下:St. Petri教会 |
さて、今回はWMU(World Maritime University : 世界海事大学)の紹介をします。WMUはスウェーデンにあるのですが、名前の通り、スウェーデンの海事大学ではありません。1983年にIMO(International Maritime Organization : 国連のspecialized agencyの一つ、詳しくはホームページを参照してください)により設立されました。
WMUは大学という名前がついていますが、実際は大学院大学です。2年(17ヶ月)と1年(9ヶ月)のコースがあり、どちらも修了するとthe degree of Master of Scienceがもらえます。入学用件は、専攻するコースに関係する大学既卒者もしくは高等船舶職経験者で、実務経験があり、英語とコンピュータの能力がある者となっていて、9ヶ月のコースはそれらの用件レベルが高くなっています。専攻コースは以下の6つがあります。
それぞれのコースの内容については、ここでは詳しく述べません。興味がある方はWMUのホームページで確認してください。Marine Resource Managementコースについては今年から始まる新しいコースです。理系、文系両方の要素を持っているのですが、どちらかと言えば、文科系大学院という感じがします。逆に神戸大学の海事科学部は理科系の海事科学教育・研究を行っていることになるでしょう。博士課程もあって、Maritime LawかInternational Commercial Law のPhDを得ることができます。
日本の大学・大学院と最も違うところは、その進学システムです。2年間のコースですと、4つの学期があるのですが、2学期(1年)が終了した時点である一定の成績に達していないと大学を去らなくてはいけません。同じように3学期が終わった時点でもこの審査があります。日本の大学のように何年間かかけて修了するということはできませんので、ある意味、厳しいシステムです。
また、WMUは上の写真にある建物1つの大学です。そのためか、field study, trainingといって、ヨーロッパ、北アメリカ、日本などへ出かけて行って実習を行う授業が年に何回かあり、とても興味深いなと感じました。
以上、非常に簡単にWMUについて紹介しました。前回も書いたように私はこちらに来て3ヶ月しかたっておりませんの詳しいことは書けません。もし間違いがありましたらご了承ください(一応、調べはしました)。そして、私はまもなくマルモから日本に帰らなくてはなりません。スウェーデンはこれからが良い季節なのでしょうが、それを見ることなく帰ってしまうのでは少し残念です。
最後に、マルモから電車で15分ほどの街、ルンドの写真を紹介して終わります。現在、ルンドは北欧最大のルンド大学を中心とした学園都市ですが、歴史的にはロンドンに対抗するほどの古都だったそうで、実際、町並みは非常にきれいでした。(M.H.)
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左上は、総石造りの大聖堂:Domkyrkan、ルンドの中で最も有名な建物の1つらしいです。右上はルンド大学図書館。図書館前に大きな高い木が多くあるのですが、その高いところにカラスが巣を作っていて、ものすごい数のカラスがいました(このカラスが私を襲ってきたら、死んでしまうな、と恐怖を感じるほど)。 |