研究テーマ
2008年度より4年間実施した文部科学省特別研究推進「輸送の三原則を統合した国際海上輸送システムの創出」、2012年度より3年間実施した関西海事教育アライアンスによる「頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラムー海洋工学における強非線形流体・構造連成に関する国際共同研究と若手研究者の育成ー」を通じて、外洋を航行する船舶の最適運航(ウェザールーティング)の高度化を研究目的としています。
このため、主要テーマとして以下の項目に取り組んでいます。
①南半球・高緯度等の海域を網羅した実海域における気象海象の数値シミュレーション
大気力学モデル、波浪モデルを用い、南半球を中心とした実海域における気象海象の数値シミュレーション、気象海象の不確実さと船体運動の関係について、クロアチアのリエカ大学と国際共同研究を実施しています。
②液体輸送船におけるスロッシングを考慮した船舶性能シミュレーション
液体輸送船の安全性評価に必要なスロッシング理論をベースとしたシミュレーションモデルの開発
③荒天航海時における人間による操船判断に関するモデル化と船速低下シミュレーションモデルの開発
荒天航海時の意識的減速に関するモデル化を船長および機関長の視点から調査し、実海域データをもとに比較・検証を行います。また機関室のプロペラ?主機?過給器の熱力学シミュレーションをクロアチアのリエカ大学と国際共同研究を実施しています。
④ダイナミックプログラミング法および等時間曲線法との連結による次世代ウェザールーティングモデルの開発
最適航路の探索計算にて用いられている等時間曲線法、ダイナミックプログラミング法のアルゴリズムをもとに①?③で開発した研究内容に対応させたモデルの開発
これらの研究を展開し、2030年の海上輸送に対応した最適運航モデルの構築を行い、広く海事社会に貢献できる 研究成果の創出をめざします。
荒天航海時の船舶主機特性の運転実態アンケート
2010年度から6年間にわたりばら積み貨物船にて実船実験を実施し、世界各地の実海域における荒天航海の状況について詳細なデータを計測することに成功しました。ここで得られた航海データ、船体運動データ、気象海象データに加え、主機や軸関係のデータも分析・整理を鋭意進めております。
ここで対象とする波浪中の船速低下については多くの研究事例がありますが、そのほとんどが船橋での航海当直時における指標を対象としており、主機の安全性に関する「機関長から見た荒天航海時の安全判断指標」についても実態調査を行う必要性を感じ、アンケート調査を実施させて頂くに至りました。送付させて頂いたアンケート(Wordファイル)を下のボタンからダウンロード可能ですので、ファイルに直接記入していただき、メール(
[email protected])に添付いただく形でのご回答も受付させていただいております。
アンケート結果につきましては、荒天中の船舶性能シミュレーションに活用させていただき、実海域での荒天運航の状況を高精度に再現した次世代ウェザールーティングの開発を目指しています。
download:
ankeito_sasa.doc 90KB